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思い出は日高に⑩ 「静内っ子」

前回の文章で書いたように、9月初旬は祖母のお葬式のため静内へ。ふだん札幌で暮らして忙しく働いている弟もその期間は休暇をもらって帰ってきていました。いつもなかなか時間が合わないので、お通夜が終わったあと互いの近況についてしばしお喋り。

「そういえばさ」、弟がスマホを操作しながら言いました。「静内っ子って覚えてる?」。それを聞いた瞬間、「うわっ!!」と声が出ました。懐かしすぎる単語だったのです。静内っ子とはその名の通り、静内の小学校・中学校に通う子どもたちの作文や詩を掲載する文集のこと。私たちが子どもの頃、年に1回発行されていました。

「そこに俺の詩が載ったの覚えてる?」。弟の言葉に、なんだかまたものすごく懐かしい記憶が脳の奥からぶわっと浮き上がってきました。「なんかあったかも! え、ちょっと写真か何かある!?」。私のリアクションにニヤニヤしつつ「いまLINEで送ったよ」と弟。最初から私に見せるつもりで、あらかじめ実家でしっかり該当ページを撮影していたのです。

すぐに写真を表示し書かれていた詩を読みました。本人から掲載許可をもらったのでここでも紹介したいと思います。

「おとうさん」

にくをきる
そろえてる
きかいをつかってそろえてる
すごいはやさでそろえてる
すごい
なんでそんなにはやくそろえるんだろう
すごい
ほうちょうでにくをきってる
はやい
すごい
ほんとうにすごい

ここで言われている「きかい」とは肉のスライサーのこと。私の両親はもともと焼肉屋を営んでおり、父は毎日これで大きな肉の塊を一枚一枚切り分けていたのです。

上の詩を書いたとき弟は小3。私は気にも留めていなかった日常の風景を、目を輝かせて観察していた弟の姿がイメージできます。素直すぎる言葉で、でもちゃんと詩としてのリズムもあり、書き手のわくわく感が伝わってくる。読めば読むほど味がある。こんないい詩を弟が書いていたなんて。再発見に驚きました。

当時の弟のかわいらしさ、そしてそれをフラットに見せてくれる現在の弟。なんだかすべてが微笑ましくて可笑しくて、深夜のテンションも相まって私はこの詩を何度も何度も声に出して読みながら涙を流して大笑いしたのでした。

そして弟が急にこの話を持ち出したのも私がHi-MAGでエッセイと詩を書いているのを知っているからなんだろうなとなんとなく分かって、そんな気持ちもうれしかったです。Hi-MAGでの連載をきっかけに地元と出会い直す日々です。

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