Hi-MAG北海道・日高の
ウェブマガジン

写真詩集『日高』ができるまで

日高に出入りするようになって二年くらい経つ(2023年11月現在)。瑛人のライブで静内(新日高町)にあるスープカレー屋「SPICE TIGER」に来たのがきっかけだ。以来ずっと探していたアトリエの候補地を探すと言う名目で通っているうちに静内と新冠を中心にたくさん知り合いが増えて、このHi-MAGの立ち上げに至った。途中はバッサリ省いたが、俺がいかにこの日高が素晴らしい場所かとほうぼうで言い続けていたら「そんなに好きなら町興しに協力してよ」って頼まれたっていうことが大きな流れだ。仕事柄、日本中を旅して回ってきた御徒町が言うならということに一角の説得力があるらしく、地元の人たちにも刺激になるらしい。俺は自分の創作意欲が刺激されるこの場所に拠点を作ろうと思っていたし、普段やっていることが誰かの助力になるのなら断る理由もなく(実際、めちゃくちゃ世話になってるし)、連れてきたクリエイティブチームと、地元の有志たちとで小さなことからコツコツと、いかに日高の魅力を自覚し外に伝えるかということをやっている。地域貢献とか町興しって、言葉にしてしまうとやや固っ苦しく聞こえてしまうが、やっていることはシンプルに「どうしたら世界がもっと良くなるか」ってことの実験のようなこと。で、ようやく地盤が固まってきたからそろそろ本気出さなくちゃと思っていたこの夏くらいに、ふと作品を作りたいと閃いた。この、外向きにまだ洗練されていない日高の魅力(それこそが最大の魅力でもあるのだが)を説明ではなく捉えたい。そう考えた時に一人の男、というかその人の視線が浮かんだ、佐内正史だ。佐内さんは写真家で、物事をただ物事として捉えることができる稀有な作家だ。五年前に共著で作った「SUMMER of the DEAD」の続編になるような本が作れるような気がした。

ちょうどこの秋(23年10月)からコロナ前まで毎月開催していた佐内さんとの詩の朗読会「POETRY CALLAS」も再開するし、その時に相談してみようと心に決めて、朗読会に向かった。休憩中の喫煙所で、これまでの経緯含め佐内さんに相談してみると「まず馬と昆布撮るかなぁ」と言っていたので、おそらくやってくれるんじゃないだろうか。次は佐内さんを連れて、日高七町を巡る。新しい冒険がぬるっと始まった。