日高町で日本最高峰のバイクレース
9月14日、海外からの参加者もあるというバイクレース「2025MFJ全日本エンデューロ選手権第3戦」を観戦するため、日高町の日高国際スキー場へ向かった。業界でも指折りの規模ということで、素人ながら期待が膨らむ。
実はこの前日は台風並みの暴風雨。山のルートを選んだので、あわや倒木で通行止めかと思うも、なんとか通過。



無事メイン会場のひだか高原荘に着いたのが12時過ぎ。天然温泉とレストランのある宿泊施設だ。
その奥に広がるスキー場斜面にコースが見える。意外と静かだなぁ〜と思いつつ、スタッフの方に「どのあたりからだと撮影に良いですか?」と尋ねると…
「レースは、もう終わりましたよ」
「あらぁ、もうちょっと早く来てたらねぇ」
どうやら、やってしまったらしい。
天候不順で開始時間が遅れるというのは確認していたのだが…どうやらレース自体の時間が短縮されたようだった。

駅駐輪場のごとく並ぶおびただしい数のバイク。無情にカウントを続ける時計と無人のコース。芭蕉の一句「夏草や 兵どもが夢の跡」が詠まずにおれない。


まだコース脇を通過するライダーがいるらしい。気を取り直してカメラを構えること数分。

雨をたっぷり吸ったスキー場斜面のコース。見事に泥しぶきが上がる。これが見たかった!


ひたすら想像を掻き立てるレポートになってしまいましたが、間近で観戦すると相当エキサイティングだったのだと思います。
後日、大会運営をされている日高モーターサイクリストクラブ HTDE実行委員会で競技監督も務める春木久史さんにお話を伺うことができました。
「このレースは日高の豊かな自然環境を背景として日高の魅力を発信する、という主旨のもと始り、1986年に第一回大会が開かれ、2004年からは全日本選手権となりました」
(より詳しい歴史はこちらのWebページにまとめられています。https://hidakamc.com/about/)
さらに日高エンデューロの特徴についてお聞きする。
「エンデューロレースの全日本大会は、今年は日高の他に3大会、広島、福島、大阪で開かれていますが、日高以外の大会は1周が大体20kmくらい。オフロードの閉鎖環境で行われます。それに対して、日高エンデューロでは一般道、私道、林道と、あらゆる「道」を含んだ1周120km超のレースです。これは日高町の広大な自然あってこその特色です」
こちらは日高エンデューロを支える人々を追ったミニドキュメンタリー。
春木さんによる運営上の様々の話、また、岩場から川を渡り、畑を駆け抜けるレースの模様も収録されています。「日高(エンデューロ)に出ないと本物じゃないと言われて…」という現役選手時代のエピソードも。今年の有力選手へのインタビューを含むこちらの動画でも、ダイナミックな走行シーンを見ることができる。にわかには信じられないスピード感!https://www.youtube.com/watch?v=2p10efUxHDM
こんなに多彩な環境を味わえるレースは海外でも稀だそうだが、その分、自然環境や周辺社会への配慮も必要になると春木さんは言う。
「日高エンデューロでは車両の不必要な改造は許可しておらず、車両検査で確認しています。また、使用タイヤも路面への影響を考え、滑りやすくなってしまいますがエコロジータイヤ(タイヤの凹凸の高さに制限を持たせたもの)の装着を義務付けています」
こうしたレースの規模や特色を支える運営の苦労は、想像に難くない。熱意ある人々によって、日高がエンデューロレースのメッカになっているのだった。