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日高旅行記

2024.06.12

「よかったらHi-MAGに日高の旅行記を書いてください」
SPICE TIGERを訪れた際に店主の大貴さんからそんな一言をかけてもらった。
なんとなくやり過ごして見送ってしまうことも出来たのだが、「書いてみたい」という好奇心が生まれ、こうしてページを持たせていただいた。
実は今回の旅にノートとペンを持って行ったはいいものの結局何も書かず、レ・コード館と道の駅に設置されていたスタンプを押すノートと化していたが、記事を書かせてもらうことになり、日高から帰ってきた翌日に時系列で出来事とそれぞれの場所で感じたことをノートに残していった。

5月17日(金)

札幌での所用を終え、14:30日高へ出発。
この日は朝から雨が降ったり止んだりしていた。
新千歳空港に戻ってきた辺りで虹を見る。なんとも縁起の良い、幸先の良いスタートとなった。

日高道をひたすら走る。
しばらくすると牧場が道の両脇に見えてくる。さらにその向こうも牧場である。
広大な土地に驚くばかり。それと同時に北海道へ来たことを実感させられる出来事だった。

新冠に到着。
ホテルのチェックインにはまだ時間があったので、その足で小高い丘の上にある新冠温泉へ向かう。
露天風呂、海と夕陽と緑。時間を忘れ、溶けそうなほどである。
この段階で早くも日高旅に来てよかったと思えた。

太平洋に沈む夕陽を見届け、温泉を後にする。
あまりの心地よさにこの旅でもう一度入りに行くことを決めた。

今回の旅は2泊。滞在は静内だ。
ホテルのチェックイン後は「SPICE TIGER」へ向かう。

元々は店内に飾られている御徒町凧さんの詩を観に行きたいというところから立ち上がった旅である。
初日にして感慨深い。
エゾシカのグリル。初めての鹿肉は美味しかった。

ホテルに戻り、23:00前には就寝。

5月18日(土)

4:30頃に目が覚め、窓の外を眺める。明るい。

東京だと恐らくまだ薄暗い。さすがに早すぎる目覚めなのでもう少し寝る。
改めて起床。前日魅了された新冠温泉を目指すもギリギリで入れず、、、調べなさすぎた。
この後はレ・コード館に行きたいと考えていたのだが時間が空いてしまったので、
2週間ほど前まで開催されていた「しずない桜まつり」の会場だった二十間道路へ。

すっかり緑が生い茂っていたが、長い一直線の道路の両側に並ぶ木々を見ながら桜の咲いている風景をしばし思い浮かべる。道路の脇にある牧場の見える景色もその向こうの山の緑もとても優しい。

静内に一度戻り、静内駅の周辺を歩く。
5月に見る八戸桜がとても新鮮だった。

開館時間が迫ってきたのでレ・コード館を目指す。


今回の旅の中で楽しみにしていたひとつである。
まずはレ・コードコンサート。巨大なスピーカーで聴く曲はまるで目の前で歌ってくれるような臨場感である。
リクエストはルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」。忘れられないひとときだった。

レ・コードプラザではレコードを無料で試聴できる。
このような機会はないので日頃CDや配信で聴いてるLPに手を伸ばす。
細かい比較は出来なかったが、それぞれの音が粒立ち、且つまろやか(ソリッドな音はそのままに!)に聴こえた気がする。近年のレコードブームも頷ける。
昼ごはんは昨夜訪れたSPICE TIGERにて「スープカレー」を堪能する。

その後、ディマシオ美術館へ。

世界最大の油彩は圧巻だった。
一度観ただけでは分かりにくいが、理解したり、受け入れていくことで意図がわかるような気がした。
作風も宗教画のようなものから未来的なものまで様々で見応えありだった。

帰りに優駿メモリアルパークに立ち寄り、閉館間際に駆け込む。
日高に来て初めてのソフトクリーム。濃厚で美味しい。

サラブレッド銀座に立ち寄る。ここは昔テレビで観た場所だった。
詳しい場所はうろ覚えだったのだが道を通った時に思い出した。

夕食前に温泉へ行く。今日は静内温泉だ。
菖蒲の湯。さっぱりする香り。良いお湯でした。

静内温泉からホテルに戻る際、ちょうど夕陽が海に沈んでいくところだった。
急いで海岸へ向かう。

さ、夕食です。元々行きたかったお店は満席だった為、北海道で展開されている回転寿司「ちょいす」へ。
旅の日数と食事回数が合わない。そのくらい行ってみたい店が多い。贅沢な悩みだ。
その後、道内ならではのお酒やつまみを購入し、部屋飲みで過ごす。

5月19日(日)

5:30起床。温泉の効能かここ2日間よく眠れた。
昨日のリベンジで新冠温泉の朝風呂へ。

自然に囲まれた場所でいい目覚め。
温泉の良さを噛みしめながら入浴していた。初日にはない感覚だった。
ホテルへ戻り朝食を摂り、チェックアウトを済ませ、静内を出発。
今日は三石へ。道の駅みついしを目指す。

昆布や羊羹など日高らしいお土産の購入と揚げかまぼこ(たこ天)を食べる。

旅行記にも登場しているが、旅の中で何度も広大な牧場に驚く。
私自身北海道は2度目、このようなのどかな土地を訪れるのは初めてのことだ。
道の駅の反対側にある牧場も見応えありだった。

三石と静内間の道路はすぐそこが海の箇所も多く、潮の香りが窓を開けた車の中に漂う。風も心地いい。
再度レ・コード館を訪れ、レ・コードプラザ、レ・コードコンサートの流れで堪能する。
いよいよ新冠を離れる。
行きは日高道を使って日高に向かっていたが、帰りはいずみ食堂を目指すため下道を走る。
お蕎麦と旬であるアスパラのかき揚げを食す。とても美味しかった。

このまま空港へ向かおうと思っていたが、まだ少し時間がある。
せっかくならばもう少し日高地方を味わいたい。どこへ行こうか。
調べてみたら平取の二風谷が20分程で行ける。空港までの時間も確保できている。
よし、行ってみよう。これこそ旅の醍醐味。
二風谷コタンを散策する。沙流川を眺めながら穏やかな時間の流れを感じていた。海外のようだった。
時間の都合もあり今回は散策のみ。

アイヌ工芸をされている関根真紀さんのお店を訪れる。真紀さんが偶然いらしてお話しすることができた。
ハンドタオルを購入。アイヌのデザインがかっこいい。
あのまま空港に戻らないでよかった。
旅の締めは夏至の前後数日間、山のくぼみに夕陽が沈む光景を見られるというオプシヌプリ視点場へ。

改めて空港に向かう。夕陽が眩しい。
ああ、旅が終わってしまう。

上手に語りきれないくらい良い3日間を過ごすことができたが、語りすぎないほうがいいのかもしれない。
旅から帰ってきてしばらく経つが写真を見返したり、こうして文章を書きながら思い出しているとまた行きたくなっている。もう少し時間があったら襟裳岬も行ってみたかった。
こうして一度足を運ぶと少し遠い場所でも近くに感じるような気がする。

今回の旅はHi-MAGの記事や動画、およびHi-MAGプロデューサー御徒町凧さんのホームページの雑記に登場する施設やお店を中心に、細かくプランを決めずに行ってみたいところへ行ってみることを試みたが、2泊でも堪能しきれていない。1泊でもいいから改めて訪れたいと思える日高旅となった。