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三石ぶらりドライブ

日高の太平洋沿岸の国道を襟裳方面へ向かうと三石地区(旧三石町)がある。

まず立ち寄ったのは三石海浜公園。ここは宿泊もできる温泉施設「みついし昆布温泉蔵三」があり、道の駅やお土産物、テイクアウトのお店が並ぶドライブインスポット。公園にはオートキャンプ場や磯遊びができるビーチがあり、キャンプ利用者は昆布採り体験も楽しめるらしい。

「みついし昆布温泉蔵三」に入る。温泉の中の売店は食品から手作り小物までいろいろ揃っていて、ここだけで小さな道の駅くらいの規模感。
日高といえば昆布も有名ですが、特に三石周辺は昆布漁が盛んなことで知られています。商品棚には世にも珍しい昆布焼酎や、昆布を使用したクラフトビールも。

右の商品は新ひだか町の「あま屋」がプロデュースする日高昆布ねりこみ蕎麦&つゆ。

とろろ昆布、ふりかけや塩まで昆布商品が沢山
一升瓶が買えるのはここだけ

みついし昆布温泉蔵三には「わんぞう」というグランピング施設とドッグランも併設されており、キャビン内で愛犬と一緒に宿泊が可能。こちらのドッグフードは日高のエゾ鹿肉使用。わんちゃんと一緒に日高の味をめぐる旅ができてしまう。Hi-MAGのわんぞう体験記はこちら

温泉施設内のレストラン旅籠はHi-MAGでも食レポしています。「みついし牛すき焼き」と「びっくり天丼」、気になる方はぜひ覗いてみてください→もぐもぐ探検隊「レストラン旅籠」

ユニークな舟形の露天風呂から太平洋を一望する。昆布湯の湯船には本当に昆布が浸されていて、その効果なのか不思議なくらい体が芯からポカポカになった。今日は文字通り昆布漬けの一日。朝風呂として午前5時から開館しているので、夕日はもちろんのこと、季節によっては湯船で日の出を迎えることもできる。(朝8時〜9時は浴室はクローズ)

浴室を出て「いい汗をかいたな〜」と思っていると、新冠町のPeekabooさんのジェラートが目に止まった。一つ頂くと、なるほど「生乳の極み」というコピーを裏切らない味。普通のジェラートやアイスの砂糖の甘みと違って、このジェラートは生乳そのものの甘さがどんどん広がってくる感じ。市場に出回らない希少な生乳が100%使用されているそうです。次回は昆布ソフトクリームも挑戦してみたい。

道の駅の前でライダーさんたちに声をかけてみる。札幌から襟裳までの旅の途中だそう。「明日は仕事だから、日帰りよ〜」とのこと。ここから襟裳までは、国道から見える名勝地が沢山ある。

三石海浜公園を後にして、浦河方面へ車を走らせること数分、ちょうど昆布を干している最中の漁師さんを発見し、写真を撮らせてもらった。長いものだと6、7メートルはあるのではないでしょうか。

朝日に光る水揚げされたばかりの昆布は、まるで波がそのまま植物になったかのよう。

「世界のパン ヤマザキ」と「世界のコンブ ミツイシ」
シャッターを切るタイミングの偶然でこんな写真が撮れた。この激しいコントラストに、何か書けというメッセージを感じてしまう。

生まれた時から台所にあるものだから、北海道昆布の存在が当たり前すぎるのは、きっと筆者のような道民でなくとも同じだと思う。しかし、そもそも食材となるほどの昆布の大規模な生息地は、世界的に見ても北海道の太平洋沿岸と東北、朝鮮半島と中国のごく一部のみ。世界で流通する食用昆布のなんと9割が北海道産で、量、質ともにまぎれもなく世界一。近年は欧米での健康志向の高まりから、マクロビオティックやヴィーガンなど非動物性素材のレシピが生まれ、昆布はその王道の食材として知られるようにもなった。国内で昆布の消費量が一番多いのは、意外にも沖縄。これは、かつてアイヌが琉球と交易していたことが影響しているそう。三石昆布は今も昔も世界を巡っている。

ちなみに、地理的にいうと日高地方の中にある三石地区ですが、昆布的にいうと三石昆布(学名:ミツイシコンブ)の中で、特に日高で採れたものが「日高昆布」、十勝で採れたものなら「十勝昆布」と呼ばれるそうです。三石昆布は特に出汁が良く出るということで煮物に最適だと聞きます。

海沿いの国道から山道へ入っていくと、牧場の多い地区に出た。この茶色の体はきっと特産のみついし牛でしょう。みついし牛は道の駅みついしひだかミートで販売しています。三石には他に、昆布を食べて育った「こぶ黒牛」もいますよ。

山道へ入ったのは、実はファーム・ホロのアスパラがお目当て。事前の問い合わせで「今は収穫時期の間だから、一番小さいMサイズしかないですよ」と言われていたものの、実物を見せてもらうとスーパーで売られているものより遥かに大きい。Lサイズ、LLサイズともなれば、アスパラのイメージが変わってしまうような大きさかもしれない。

三石では他にも「船上活〆三石ぶり」や鮭の「銀聖」、幻の魚「王鰈」(カレイ科、マツカワ)などのブランド魚が名産品として販売されています。こちらも別な機会に紹介していきたいと思います。

三石川に沿って海の方へ出る途中、異様に存在感を放っている岩山が目に止まる。後から調べると「蓬莱山」という名所で、アイヌの神話の舞台でもあるそう。ここで毎年恒例のお祭り「みついし蓬莱山まつり」が開かれているようです。(2025年は7月6日開催)

今回は昆布を切り口に、海の幸、山の幸が豊富な新ひだか町三石地区の紹介でした。

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