間もなく!日高自動車道「新冠IC」開通
苫小牧から浦河方面へ延伸中の高規格幹線道路「日高自動車」は現在「日高厚賀IC」が終点となっていますが、間もなく「新冠IC」の開通が見込まれています。これまで日高自動車道のIC開通については、開通の2週間ほど前に告知されてきたようで、開通日については10月末現在未定の状況ですが、9月28日には未開通区間の一部を利用した開通前記念イベント「ジョギング&ウォーキング&新冠フェスティバル」が開催されましたので、間もなく開通するのではと、地域住民も待ち焦がれている様子が窺えます。

【出典】イベントの集合写真は新冠町WEBサイトから転載
ただ、工事標識を確認すると、工期としては2025年3月まで舗装工事が予定されているようですので、開通は年度内いっぱいかかる可能性が高そうです。

私は札幌出身で、幼少期は年末年始やお盆などは道東にある祖父母の家へ両親に連れられ帰省するのが恒例行事でしたが、当時(30年ほど前)は札幌~釧路間を結ぶ道東自動車道は建設前で、日高町を経由して道内屈指の難所「日勝峠」を越えて向かう長く険しい旅路でした。

同じように日高自動車道開通前は、札幌都市部から日高地方までは「遠い地域」という印象を持たれてきましたが、現在は札幌から新ひだか町静内地区まで2時間程度と十分に日帰り圏内になり、新冠ICの開通は更に心理的な距離感を縮める効果が期待できそうです。
日高厚賀ICを出てから新冠へ至るまでの国道は、海岸線に沿った起伏の激しい道路が9kmほど続くため、上り坂でアクセルを踏み込んだかと思えば下り坂ではブレーキが必要になり、私はこのアップダウンを負担に感じていました。同じ感想を持つドライバーさんは少なくないと思いますし、特に馬運車など動物を運搬する際には運転に細心の注意が必要とされる気疲れする区間であることは想像に難くありません。

日高自動車道の延伸は、観光客や馬産業関係者の往来を円滑にするだけでなく、物流コストの削減や企業立地の可能性など、多面的な効果をもたらすことが期待されます。
一方で、長距離ドライブをしていると高速道路のPA・SAは休憩場所としてよく利用する施設ですが、日高自動車道は無料区間のため、トイレの設置もありません。多くのドライバーがICを下りてまず探すのはトイレではないでしょうか。
新冠IC付近のトイレの場所をマップにしました。「サラブレッド銀座駐車公園」はICを下りて交差点を直進してすぐ、「道の駅サラブレッドロード新冠」は新冠市街地方面へ5分ほどの場所にあります。

ここ10年ほどの間に、地域の特色を活かした魅力的な道の駅がリニューアルを含め次々と誕生しています。中には道の駅巡りを目的とする旅行者もおり、北海道開発局では道内道の駅完走者を対象に毎年アンケートを実施し、ランキング(2024年度ランキングPDFはコチラ)を発表しています。アンケートの項目は下記8点でそれぞれの部門でランキングされています。
① 道路や地域に関する情報提供が充実していたと感じた「道の駅」
② ゆっくり休憩できたと感じた「道の駅」
③ トイレがきれいだと感じた「道の駅」
④ 家族で訪れたい「道の駅」(子どもや高齢者に優しい「道の駅」)
⑤ 長時間滞在したい「道の駅」
⑥ 再度訪れたい「道の駅」
⑦ 冬に訪れたい「道の駅」
⑧ いちおしの”おいしいもの”
日高地方では①の部門で「樹海ロード日高(日高町)」が3位となっていますが、その他TOP10圏内でのランクインはありませんでした。
旅行者が道の駅を訪れた際に、「ゆっくりできる」「トイレがきれい」「食べ物がおいしい」と感じれば、その地域からもてなされているような感覚を覚えるはずです。それはその地域への印象として評価に直結し、リピーターを生み、関係人口を増やしていくことにつながります。

上表は日高振興局が発表している「令和6年度日高管内観光入込客数PDF」からの抜粋ですが、「道の駅 サラブレッドロード新冠」は利用者数が約21万人となっており、日高地方屈指の観光施設であることがわかります。
今年10月にTBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」が放送開始となり、日高地方の牧場や海岸線、そして競走馬と人々の営みが全国に紹介されています。馬産地として知られる日高が、ドラマを通じて再び注目を集めていることは、地域にとって大きな追い風となります。
新冠IC開通との相乗効果も期待されるところですが、日高地方における利用者数トップクラスの「道の駅 サラブレッドロード新冠」をどう活用していくかが大きな鍵となるのではないでしょうか。
この絶好の追い風に乗ることができるか、いま新冠町の動きから目が離せません。